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【雑記】 流星 ― お市の方 (下) (文春文庫) [読書]

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文春文庫『流星 ― お市の方 (下)』を読みました。

上巻のときに書くのを忘れていましたが、
この本は歴史小説にしては読みやすいです。

歴史小説というとお堅い文章で古語が多くて
読みづらいイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが
ほとんど口語で現代的な文章と言葉遣いなので読みやすいです。

さて、本編に入る前にゲームの話をちょっとします。

お市さまが登場するゲームを2つやりました。
『戦国無双』と『戦国バサラ』です。

お市さま像が2つのゲームで全然違いました。
解釈をどう間違えればこんな風に違いが出るのか、と思いましたが
今回、お市さまの生涯に触れることで合点がいきました。

『戦国無双』でのお市さまは凛としていて清廉ですが
『戦国バサラ』でのお市さまは鬱として苦しみや悲しみにまみれていました。

簡単に言ってしまうと、『戦国無双』の場合は前期のお市さま。
『戦国バサラ』の場合は後期のお市さまですね。

前期というのは長政に嫁いで、嫁ぎ先で夫と兄が戦争するまで。
後期というのは長政が戦死し、お市さまが最後を迎えるまで。
と、私は解釈しました。

お市さまは20歳から26歳の間、長政の妻として生活しました。
ですが、信長と長政が戦争状態に入り、お市さまはその狭間でストレスの日々を送ります。

戦いの末、長政は破れ討ち死にしました。
お市さまは戦国の世の慣(なら)わしで、織田家に帰りました。

その際に、長政との間に産まれた娘を3人連れて行きました。
織田家に帰った後は、お市さまは隠居同然の身で10年を過ごします。

全てに疲れ、全てにやつれてしまったお市さま。
心の傷が癒えるのはいつになるのか・・・。

そんな中、お市さまの娘がはしゃいでいました。
勝気なお茶々とおしゃまなお初。

お初はまだ幼いのにきらびやかな物に目を輝かせて
信長が安土に城を作っているという噂を聞いたときも
大きなお城なのか、キレイな装飾はあるのかと囃(はや)し立てました。

カワイイですねぇ。
お市さまの娘なら想像だけで飯3杯はイケます。

そんなひっそりとした生活はそう長くは続きませんでした。
事態が急変するのは、ご存知”本能寺の変”。

兄信長という最強の後ろ盾を失い、織田家は崩壊に進みました。
特に乗っ取りを始めた秀吉は、お市さまにとって兄の遺産を侵犯する者。

そうこうしている内に、お市さまはまた政治の道具として使われようとしました。
柴田勝家と結婚し、反秀吉勢力を樹立するためです。

勝家は男臭くて愚直で60歳近いオッサン。
お市さまは最初、生理的に受け付けないということで拒否しましたが
反秀吉を実現するために結婚を受諾しました。

勝家がお市さまを寝床で抱くシーンがあるのですが、
目を逸らしたくなるような有様でした。

あんな獣のような男に裸に剥かれて蹂躙されるお市さまを見ていられません。
まさに美女と野獣。

お市さまは勝家をけしかけて秀吉を倒そうとしましたが、
逆に勝家の軍は敗退しました。

城下に押し寄せる秀吉軍。
逃げ場が無い殺伐とした状況でお市さまは勝家とともに死ぬ覚悟をしました。

「その中でお市はひどく場違いな大輪の花のように見えた」

お市さまの生涯は翻弄と激動と苦悩の日々でした。
並の人間ならとても”完走”できないと思います。

信長の妹として産まれた。
戦国の世に産まれた。
ただそれだけのことなのに
幸せになる自由すら無いというのか・・・。

【雑記】 流星 ― お市の方 (上) (文春文庫)
http://lunablog.blog.so-net.ne.jp/2008-12-16


流星―お市の方〈下〉 (文春文庫)

流星―お市の方〈下〉 (文春文庫)

  • 作者: 永井 路子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2005/03
  • メディア: 文庫



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コメント 2

心×

>勝気なお茶々とおしゃまなお初。

お江様が華麗にスルーされてる件について(笑)。
この三姉妹と母(市)は親子そろって凄い人生を歩んでますなぁ。
茶々とお江は、敵対する豊臣と徳川に嫁ぎますしねえ。


>お市さまの娘なら想像だけで飯3杯はイケます。

お市さまを、物凄い萌えキャラでイメージされてるであろう想像力に感服。
娘達も母親似ですしね。しかも三姉妹っていう萌え設定。

立花誾千代っていう6~7歳で城主になった幼女もいたりと
戦国時代マジパネェ。

by 心× (2008-12-28 11:32) 

Lunamaria

◆ 心× さん
◇ コメントありがとうございます

> お江様が華麗にスルーされてる件について

お江さまの不在にツッコミをいれるとは、サスガですなぁ。
本文中で、お江さまはあまり目立たなかったんで姉二人を取り上げました。

> 物凄い萌えキャラでイメージされてるであろう想像力に感服

確かに、幼少から長政に嫁ぐまでのお市さまは勝気で利発で
兄に対してツンデレなので萌え要素もありますが、
その後は人妻→未亡人→再婚ですから・・・。

> 立花誾千代っていう6~7歳で城主になった幼女もいたりと

幼女のツンお姫さまにコキ使われてみたいですねぇ。
戦国では年齢1桁でも嫁ぎますが、現代ではほとんど犯罪です・・・。
 
by Lunamaria (2008-12-28 20:59) 

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