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【雑記】 劒岳 点の記 (文春文庫) [読書]

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『劒岳 点の記 (文春文庫)』を読んだので感想などを書きます。
この作品は最近、映画化されましたね。

だったら「映画を観ればいいじゃないか」という意見もあると思いますが
私は実写邦画を観ませんので、原作小説を手にしたわけです。

この小説は地図の測量官が”劒岳”の地図を描くために山登りをするという話です。
ただし、”劒岳”は誰も登ったことが無い前人未到の難所です。
遭難は死に直結しています。

雨風が強く凍えるような寒さの中、テントが吹き飛ばされそうになります。
そのとき、咄嗟の機転でテントを畳んでしまいます。

そして、シート状になったテントと地面の間に寝て夜を過ごすシーンが印象的でした。
判断を間違ったら、それが死につながる世界でよくやりくりできるなぁと。

この小説は山登り中の描写も素晴らしいですが、登場人物が魅力的ですね。

まずは測量官の柴崎さん。
この人は本当に有能な人です。

山登りのスキルも人並み以上ですが、それ以上に判断力と統率力がスゴイです。

その優れた判断力で何度も窮地を脱しますし
多くの人夫を雇うのですが、その統率力でほとんどトラブルらしいものもなく、
ほぼ計画通りに測量が行われます。

そして、柴崎さんの嫁さんのはつよさん。

夫の心配をして、手紙を送ってくるはつよさんの献身的な態度と初々しさも良かったです。
”劒岳”の事なんかどうでもいいから、柴崎さんにははつよさんのために無事に下山して欲しいと思いました。

地元の案内人の長次郎さん。
この人は柴崎さんと並んで主人公クラスの活躍でした。

とにかく山登りの技術がすごい。
勘も働くし、お客さんに対して謙虚です。

人柄も好感が持てますし、この人に任せておけば少しくらい迷っても解決できるだろうという
安心感をこちらに持たせてくれる頼もしい存在です。

”劒岳”をやるときも物怖じせずにガンガン攻めてましたし。
天気の予測もかなり正確でしたし。

同じく案内人の鶴次郎さん。

翌朝に”劒岳”をやると敏感に察知して、俺も行きますと言ったときはカッコよかったです。
さらに、柴崎さんと長次郎さんと同じ登攀路を思い描いていたなんて。

その他にも山岳会との競争や修行僧の謎掛けなど見所がいっぱいです。
総評としては100点満点中80点くらいでしょうか。

地図製作のための測量という作業が文章だけでは伝わらなかったのと
帰ったあとにはつよさんと再会するシーンが無かったのがマイナスポイントかなと。

▲ 映画『劔岳 点の記 -ツルギダケ テンノキ-』公式サイト
http://www.tsurugidake.jp/


劒岳―点の記 (文春文庫 (に1-34))

劒岳―点の記 (文春文庫 (に1-34))

  • 作者: 新田 次郎
  • 出版社/メーカー: 文芸春秋
  • 発売日: 2006/01
  • メディア: 文庫



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