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【雑記】 流星 ― お市の方 (上) (文春文庫) [読書]

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文春文庫『流星 ― お市の方 (上)』を読みました。
同じく歴史上の女性にスポットを当てた『篤姫』が
最近は話題になっているようですが(私は一回も見たことがありませんが)

お市さまは戦国時代の人です。
戦国時代で超有名な織田信長の妹さんです。

織田信長といえば天下の覇王です。
若い頃は粗暴さと豪放さで”うつけ”と呼ばれていました。

この小説では主人公の兄ということで度々登場します。
電光石火で攻める信長の戦闘は潔さと豪快さがあってスゴイですね。

この本の感想を主に3つ取り上げてみます。

一つ目はお市さまの嫁ぎ先が決まったときの兄妹の会話です。

この二人は幼い頃、仲が悪かったのですが
お市さまは信長が背負った重責や苦境の立場を理解するにつれ
兄と仲良くなっていきます。

信長がお市さまに秘密で京都に行ってきたとき、
お土産をお市さまに渡すのですが、
自分に内緒で出掛けた信長に対して拗(す)ねたり

家康の第一印象が芳(かんば)しくなかったために
結婚相手にどうかと問われてイヤイヤと言ったりするシーンは
微笑ましかったです。

お市さまの婚約相手が決まったとき。
兄との別れが近づいたとき。
兄と二人きりで雪の日にお城の一室で静々と語り合うシーンが印象的でした。

2つ目は濃姫とお市さまの会話です。

濃姫は信長の妻で、マムシの斉藤道三の娘です。
この人は戦乱の中、女としての戦場に赴(おもむ)いて華麗に立ち回っています。

ですが、家か夫か。
選べと言われたら答えられないらしいです。

濃姫のセリフの中に
「生きてみなければ、分からないことです。」
という一節があります。

このセリフ、奥深くて印象に残っています。
戦国時代に生まれた女。
戦力として働くことを期待されているのにもかかわらず、
男のように”切り拓く”力を持たないがための境地なのかもしれません。

3つ目はお市さまが信長に小豆袋を送るシーンです。

お市さまは幼少の頃から聡明で機転の利く娘さんでしたが
夫と兄の狭間で揺れ、苦境に立たされた末の会心の策でした。

兄も夫も、死んで欲しくない。
そんなお市さまの優しさと抗う強さが垣間見れたような気がします。


流星―お市の方〈上〉 (文春文庫)

流星―お市の方〈上〉 (文春文庫)

  • 作者: 永井 路子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2005/03
  • メディア: 文庫



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コメント 2

心×

>お市さまが信長に小豆袋を送るシーンです。

これは印象的なシーンですよね。(創作らしいですけど)
両端を縛った袋で挟撃を伝えられても
私なら意図に気付かないだろうね。
この二人のやりとりが知的すぎるッ!

お市さまは、戦国の世に翻弄された女性の典型でしょうね。
政略結婚。実家と嫁ぎ先の狭間に揺れ悩み。
最後の柴田勝家との自刃とか、ドラマティックな人生すぎますな。




お市さまに萌えを見出すとは時代は変わったものよのう(笑)。

by 心× (2008-12-17 11:37) 

Lunamaria

◆ 心× さん
◇ コメントありがとうございます

> (創作らしいですけど)

歴史モノは物語性を確保するために脚色がありますね。
私としてはドラマティックさは要らないのでリアリティが欲しいです。

> 私なら意図に気付かないだろうね。

普通なら中身の小豆に謎のヒントを求めそうですが、
「袋の紐かよ」って感じですね。
中身は何でもいいなら飴玉とかなら萌え要素なのに・・・。

> 実家と嫁ぎ先の狭間に揺れ悩み。

お市さまの場合は兄貴がヤバすぎるんですよねぇ。

> 最後の柴田勝家との自刃とか

勝家の無骨さと男臭さを思うと、美女と野獣ですなぁ。
個人的には秀吉のストーク行為にもワクワクします。。
 
by Lunamaria (2008-12-17 21:21) 

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