【雑記】 砂の碑銘 (集英社文庫) [読書]
4月の下旬に刊行された『砂の碑銘 (集英社文庫)』を
購入して読了したので感想など。
最近はラノベばかり読んでいたので森村の推理小説を読むのは久しぶりです。
この小説は森村作品には珍しく、推理小説というよりは冒険小説という印象が強かったです。
森村作品では推理小説でも旅行をすることはあるのですが
今回は冒険とも言えるほどにアクティブに飛び回ります。
ヒロインの志鶴子さんが犯されかけたときはハラハラしました。
関谷さん、早く助けろよと思いました。
志鶴子さんは長野の山奥やアメリカまで自分の出生を探るたびに出掛けるのですが
2回ともウソをついて親がやすやすと行かせていたのがちょっと不自然ですね。
でも、廃村でのお爺さんとの再会やバックグラウンドの解明は素直に面白かったです。
なぜか、ゲームのRPGをやっているのような気分。
あと、アメリカで銃撃戦の最中、姉と邂逅するのはちょっとやり過ぎじゃないかと思いました。
洋画のアクション映画のようです。
森村の小説でこんなにアクションなのは珍しいと思いました。
ただ、完全なバッドエンドなのは森村色が色濃く出ていると思います。
関谷さんとはラブラブになって欲しかったけど、まさかそこで“呪われし血脈”が覚醒するとは・・・。
せっかくお姉さんに会えたのに死なせてしまいますし
お爺さんに会えたのに死なせてしまいますし、
ある意味、自分の自己満足のために周りを不幸にし続けていましたね。
それでも追い求めることを止めないとは、人間の好奇心はときに罪なほど大きいものです。
そして、人の好奇心はここまで神経をマヒさせるものなのかと思いました。
一般人の、しかもひ弱な若い女性が、銃で武装した犯人の前に一人で向かうわけですから。
志鶴子さんの過去に関しては、志鶴子さんのお父さんの独白など様々な情報が飛び交いましたが
結局、志鶴子さんが最後に取り戻した記憶が真実のようですね。
知りたがらなければ、平穏な日々が待っていたと思いますが
知らないまま生きることは、充実した日々とは言えないのでしょうか。
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