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【雑記】 文春文庫『西遊記 (4)』 [読書]

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文春文庫『西遊記 (4)』を購入して読了したので感想など。

ついに最終巻。
天竺に辿り着いた三蔵たち。
まさに万感の想い。

西遊記、面白かったです。
オススメです。

三蔵たちが旅の途中、3人の弟子たちは各々が成長するのですが
なかでも、悟空と八戒の成長は素晴らしいですね。

あの二人が友達同士のようにじゃれ合っている姿は
微笑ましいものがあります。

最初は仲が悪かったのに、今ではいい友達です。
性格的にも馬が合うんじゃないかと思います。

ところで、そんな八戒を見て悟浄は
「あれでもうちょっと謙虚なら・・・」とこぼすのですが
三蔵は、「完璧じゃなくていい、ちょっとくらい欠点があっても」
と応えました。

三蔵は人柄をよく見ていて、そして個性というものを大事にしますね。
人の上に立つ立場の人間は、このくらいの懐の深さが欲しいものです。

そんな三蔵ですが、女性が苦手という可愛い一面もあります。
しかし、この4巻ではなんとうら若き女性と二人乗りで馬に乗るのです。
そりゃ八戒でなくとも驚くわい・・・。

旅の途上は、いつも通り妖怪退治をしたり
困った人を助けたりします。

妖怪退治で手こずったときに天上人の力を借りたり
妖怪の正体が天上人のペットだったりするパターンは健在です。

その中で、ウサギが登場する話がありまして
そのウサギは天上人のペットだったのですが
地上で人間として生活していました。

天上でペットだった頃。
そのウサギは月の女神の元で、餅つきの杵を持って
舞を踊ったらしい。

これって、月にウサギがいるっていう伝説の元ネタなんでしょうか。

そんな道中、天竺国に入りお釈迦様の住まう山までやって来ました。
そこにある川を渡っている途中に、上流から三蔵の死体が流れてきて
ビックリしましたが、その正体は解脱前の自分だったらしい。

お釈迦さまに会って、かの有名な手の平で踊らされていたに過ぎない
というイベントがあるかと思いましたが、ありませんでした。

原典を元に、それぞれの作者で脚色したりしているのでしょうか。

悟空たちの望みを叶えなかったら、暴れ出しますよ?
と言った観音様も、なかなかにしてお茶目ですねぇ、

最後に、印象に残ったセリフを紹介しながら
この記事を締めさせていただきます。

「でも、私の目にはみな昔のままですよ」
「江の流れも、月の光も・・・」

三蔵が長安に戻ったときの一夜。

三蔵にとって悲しみの記憶の方が強いと思うのですが
拾われたお寺に今一度立ち戻って、そこで清々しいまでの
感想を漏らした三蔵は、どんな気持ちだったか計り知れません。

「俺たちこそ、お師匠様のおかげでここまでたどりつきました」
「嬉しくって、有り難くって・・・」

この一行は、何気によく涙しますね。

みんな男なので、口数は少なく騒ぐこともないのですが
だからこそ、逆に彼らの真摯さ、思いの強さが迫ります。

「俺はお師匠様とも、仲間達とも別れたくないです」
「闘戦勝仏にしていただかなくてけっこうです」

お師匠様といられるのなら、地位も名誉もいらない。
悟空にとって三蔵こそが生きる価値なんでしょうね。

観音様に人知れず苦情をいいところも
師匠想いの良い弟子だと思いました。


西遊記〈4〉 (文春文庫)

西遊記〈4〉 (文春文庫)

  • 作者: 平岩 弓枝
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2009/04/10
  • メディア: 文庫



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