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【ラノベ】 デジタル・デビル・ストーリー3 転生の終焉 [デジタル・デビル・ストーリー]

無印DDS(Digital Devil Story)もこの第3巻で最終巻です。
冒頭からルシファーが出てきたのでルシファーに心酔している私としてはワクワクしました。
ただ、中島くんとルシファーの直接対決はありませんでしたが。

私が読んでいて印象に残ったのは村井くんの心の叫びと
中島くんのお父さんの心の声です。

悪魔化してしまった友人の殺戮の片棒を担ぐ村井くん。
嫌々ながら、「やらなければ殺すぞ」と恫喝され付き合います。

抜けだしたいと思いながらも抜け出せないままズルズルきてしまいます。
ところが、ある日、悪魔に手を貸していたことがセイレーンにばれてしまい、自宅を襲撃されます。

暴徒と化したセイレーン教団は村井くんの妹と母をその手にかけます。
その惨状を目の当たりにして村井くんは怒りと憎しみを爆発させます。

「殺してやる!」

そして村井くんは悪魔との契約を果たしてしまいます。
泣きながら妹の血肉を喰らうシーンは鬼気迫るものがありました。

終盤で中島くんは国家権力に逮捕され、裁判を受けます。

こういう展開はファンタジーの話として珍しいですね。
”悪魔の召喚”と”超常の力を使った殺人”に対して法律に照らし合わせて裁判にかけるなんて。
SFとリアルが混じった、見たことのないシナリオです。

死刑が言い渡された中島くん。
死刑執行を前に中島くんの父親はこう思いました。

「この娘を守るために息子は命をかけたのか・・・」

このシーンも心打たれました。
息子と気持ちが通じた瞬間であり、中島くんの弓子さんに対する一途さが窺える台詞です。

この作者の書き方は、普通の作家とは違って、主人公に対してドライだと思います。
普通なら、物語の主人公を通じて作者の熱い想いを読者に届けたりするのですが
なんというか、中島くんは”物語であり続ける”っていうか、そんな感じです。

DDSを読んでいて思うのは、確かに殺伐さや荒涼さはあるのですが、
メインのテーマは、悪魔との戦いでもなく、オカルトでもなく、コンピュータ科学でもなく
純愛なんじゃないかと思いました

弓子さんが辱められて、激情に駆られて人を殺してしまう中島くんのあの行動も弓子さんへの愛ゆえに。
他の人間の命は、弓子さんへの愛に比べればどうでもいいこと。
さらに自分の命すら、弓子さんへの愛に比べればどうでもいいこと。
そんな気がしました。

転生の終焉

転生の終焉

  • 作者: 西谷 史
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 1988/02
  • メディア: 文庫


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