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【雑記】 文春文庫『西遊記 (3)』 [読書]

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文春文庫『西遊記 (3)』を購入して読了したので感想など。

天竺への旅の途中、三蔵一行は女人国に立ち寄りました。
そこは女性しか住んでいない国なので、男である三蔵が入り込むと
国中の人はもとより、女王までもが三蔵を婿にしたいと言い始めました。

それはさておき、この国ではどうやって子供を産むのか。
男性がいないので物理的に不可能です。

一つの方法としては、男の旅人が通りがかったときに
女が群がって絞り出すという方法。

この方法だと、男は精気を吸われてやつれ果て
老人のように白髪交じりとなり恍惚呆然とするらしい。

この話を聞いて、かの有名な浦島太郎も
よぼよぼの爺さんになったのは竜宮城で
御伽乱舞したからではないかとふと思いました。

もう一つの方法は、妊娠の効果がある不思議な水を飲むこと。
この水を飲むと物理現象を超越して女性が妊娠するらしいです。

困ったことに三蔵と八戒は間違ってこの水を飲んでしまうのですが
男が飲んだらどうなるのか、前例がないので分かりません。

悪阻(つわり)が来て、お腹に激痛が走り、床に臥せってしまうのですが
あのまま放置したら出産したのだろうか。
男なのに。

次にまた、三蔵一行に試練が待ち構えていました。
悟空がまた殺生をしてしまい、罪を償うためには
悟空を破門しないと遺族は納得しません。

「それは出来ませぬ」

でも三蔵は、破門すれば万事解決するというのに
悟空の破門を断りました。

間髪入れずにハッキリと言い切った三蔵に感動しました。
同じ轍を踏みたくないというのもあるでしょうし
三蔵にとって悟空の存在は何物にも替えがたいのでしょう。

この二人の関係は師弟というよりは、親友のような気がします。
三蔵は悟空を大切に思い、悟空も三蔵を大切に思う。

とりあえず難を逃れるために形ばかりの破門で
あとから合流しようと画策したのですが
三蔵の破門発言を聞いて悟空の心は凍り閉ざされてしまいました。

合流の内約をとり付けるしまもないまま
別れ別れになってしまいました。

その後の悟空の深い悲しみ。
そして、三蔵の深い後悔。

離れ離れになった二人を見ているのは痛々しいです。
しかも誤解からきているというのに。

引き金となった悟空による殺生。
確かなことは、悟空に悪意がないということです。

しかし、悪意の有無にかかわらず結果だけ見てしまえば
それはれっきとした人殺し。

有罪か無罪かで言えば有罪になってしまうのが残念でなりません。

その後、悟空の合流の際に偽物事件が起こるのですが
最終的に三蔵に見てもらって一発で当てて涙の再会になれば
もっと良かったんじゃないかなと思います。

この巻の最後で、西遊記で一番有名な
・火焔山
・牛魔王
・芭蕉扇
が登場します。

牛魔王と悟空は旧い友人なので、なかなか思い切ったバトルには
ならなかったですが、牛魔王を退け、芭蕉扇で煽いで、
なんとか難所を突破しました。

このときも、悟空は天界の貴族に助けられるのですが
昔は暴れん坊の不良少年だったので敵対していたのに
成長した悟空を見てむしろ喜び、手助けをしてくれるなんて
いい人ばかりですね。

悟空は思った以上に周りから愛されているようです。


西遊記〈3〉 (文春文庫)

西遊記〈3〉 (文春文庫)

  • 作者: 平岩 弓枝
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2009/04/10
  • メディア: 文庫



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